希少価値が高い「グランディディエライト」
2019年6月4日 火曜日
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最近になって世間で人気を集め始めるようになった宝石「グランディディエライト」。
非常に希少な存在であることから「幻の宝石」と呼ばれており、初めて発見されて以降その名が世間に知れ渡ることはありませんでした。
しかし近年になって少しずつ市場に流通されるようになり、ジュエリーコレクターたちから熱い注目を集めています。
今回は美しさと希少さで高い人気を誇るグランディディエライトの基礎知識や特徴を紹介します。
幻の宝石だったグランディディエライトの流通量が近年増加
グランディディエライトが最初に発掘されたのは、1902年と実に一世紀以上前になりますが、世間に知名度が上がってきたのはつい最近のことです。
世界初となるグランディディエライトはマダガスカルで発見されましたが、それ以降宝石品質の物は発見されなかったため、市場に流通することはなく、知る人ぞ知る幻の宝石とされてきました。
しかし、2000年になってスリランカで、宝石品質のグランディディエライトが発見されたほか、2014年にはマダガスカルの南部海岸アンドラホマナで純度の高いグランディディエライトが発見されたことから、最近になってようやく原石やカット加工を施したものが流通するようになりました。
なお、グランディディエライトという名前は、マダガスカルの地質を研究していたフランスの地質学者「アルフレッド グランディデエ」に由来しています。
1カラット超の宝石は2年間でわずか10個!希少価値の高いグランディディエライト
最近になって流通量が増えたグランディディエライトですが、それはあくまで以前と比較した場合の話で、現在にいたってもその希少性に変わりはありません。その証拠に、2014年5月~2016年3月までの約2年間に発掘されたグランディディエライトの原石は800kgしかなく、しかも透明な部分に限るとわずか60gに留まっています。
そこから30個ほどのルース(裸石)がカットされましたが、そのうち1カラットを超える宝石は10個に届かなかったと言うから、いかに希少性の高いジュエリーであるかがうかがえます。
また、グランディディエライトは採掘される鉱床自体が少ないことに加え特定の温度と圧力のもとでしか成長しないという特異な性質を持っています。
さらに原石のサイズが小さいこと、クラックが多くカット段階で原石の9割以上が失われてしまうことなどから、十分な大きさを持つジュエリーに仕上がる数は非常に少なく、「幻の宝石」と呼ばれる所以(ゆえん)になっています。
3つの色合いを兼ね備えた美しさと耐久性を併せ持つグランディディエライト
ようやく市場に流通し始めたばかりのグランディディエライトがジュエリー業界で高い人気を集めているのは、たぐいまれな美しさに加え、宝石加工に適した硬度を持っているためです。
グランディディエライトは石に含まれる微量の鉄分によって発色していると考えられており、無色透明からイエローグリーン、ブルーグリーン、ブルーと3つの色合いを兼ね備えているところが大きな特徴です。
光を受けてみずみずしく輝くネオンカラーの美しさはジュエリーコレクターだけでなく多くの人を魅了し、日本を含む世界各地ではグランディディエライトのルースやジュエリーを観覧できるイベントなども多数行われています。
一方の耐久性ですが、グランディディエライトはモース硬度7.5の宝石とされています。
モース硬度とは鉱物の硬さを表す尺度のことで、1~10段階までありますが、7.5は鋼鉄のやすりに匹敵する硬さ。そのぶん優れた耐久性を誇っており、ジュエリー加工にはうってつけです。
モース硬度7.5の宝石と言えばアクアマリンやエメラルド、アメジストなどが有名で、これらは指輪からネックレス、イヤリングに至るまでさまざまなジュエリーに使われていることから、いかにジュエリー加工に適しているかがわかります。
希少価値の高い宝石は硬度が低く、もろい物が多いので、そういう意味でもグランディディエライトは非常にまれな存在として評価されています。
グランディディエライトはジュエリー加工にも適している美しいレア宝石
グランディディエライトはジュエリー加工に適した耐久性を誇り、なおかつ3つの色合いを兼ね備えた美しい宝石でもあることから、ジュエリー愛好家の中でも高い人気を集めています。
ただ、長らく市場に流通されなかったこともあって現在はまだまだ知名度が低く、パワーストーンショップなどに置いてある透明度の低い宝石であれば比較的安価に入手できます。
今後はグランディディエライトのリユース品が市場に流通されることも考えられますので、興味と機会があれば一度は手に取ってみたい宝石です。