幻のレッドダイヤモンド
2020年4月14日 火曜日

目次
レッドダイヤモンドの希少性や、一般的に出回っている赤いダイヤモンドとの違い、さらに世界一と言われるレッドダイヤモンドの紹介や、その金銭的価値などを探ります。
世界で30個しかない超希少ダイヤモンド
ダイヤモンドは無色透明のものほど価値が高いと思われがちですが、カラーダイヤモンドのなかには、その無色透明ダイヤモンドをしのぐ価値があるものも存在します。
それが「世界で30個しかない」と言われるほどの希少性を誇る、レッドダイヤモンドです。
天然のカラーダイヤモンドのひとつであるピンクダイヤモンドも希少性がありますが、レッドダイヤモンドはそれよりも高い希少性を誇っています。ジュエリー業界の人間やコレクターなどでも、レッドダイヤモンドの現物を目にする機会は非常にまれです。
当然のことながら一般的な宝石店に流通することはまずありえませんし、世界的な有名オークションでも、ごくたまにしか取引されないというのが実情で、だからこそ「幻のダイヤモンド」とまで言われているのです。
ファンシーカラーダイヤモンドとトリートメントダイヤモンド
「レッドダイヤモンドは超希少だというけれど、自分も赤いダイヤモンドなら見たことがある」という人もいるでしょう。
しかし、そのほとんどは、単なる人工ダイヤか、もしくは「トリートメントダイヤモンド」と呼ばれる、工業用などで使用されるクオリティの低いダイヤモンドに、着色やコーティングなどの改変をほどこしたダイヤモンドです。
トリートメントダイヤモンドは、クオリティが低いながらも天然のダイヤモンドを原石として使用していることには間違いないので、取り扱いショップなどの説明で「天然ダイヤモンド(トリートメント加工)」と明記されていることがあります。
対してファンシーカラーダイヤモンド(ナチュラルダイヤモンド)とは、加工が施されていない、天然の姿そのままのカラーダイヤモンドを指します。
そして超希少なレッドダイヤモンドというのはあくまで、ファンシーカラーダイヤモンドに分類されるレッドダイヤモンドを指します。
ムサイエフレッド
レッドダイヤモンドのなかでも、世界で一番大きなファンシーレッドダイヤモンド(ナチュラルな赤色のダイヤモンド)とされているのが、5.11カラットのムサイエフレッドです。
元々は「レッド・シールド」という名で呼ばれていたレッドダイヤモンドですが、2011年にロンドンの宝石商・ムサイエフのムサイエフ社に800万ドル(約9億8千万円)で買い取られ、所有者であるムサイエフの名を冠して「ムサイエフレッド」と呼ばれるようになりました。
レッドダイヤモンドの価値
天然のレッドダイヤモンドは非常に希少なため、その価値は極めて高価です。
あまりに希少なため取引実績そのものが限られており、具体的な金額が分かる情報というのはなかなか見当たらないほどです。
前述のムサイエフレッド以外の例を挙げるとすれば、1987年に「ハンコック・レッドダイヤモンド」呼ばれる0.95カラットのレッドダイヤモンドが、オークションにて88万ドルで落札されたというケースがあります。
1987年当時の為替相場は、1ドル121円~159円ですので、一番ドルが安い時のレートを基準にしても当時の日本円での価値は1億円を超えていた、ということになります。
しかもこれは30年以上前の話ですから、それからのインフレ率などを考えると、もっと価値は上がっているのは間違いないでしょう。
そして驚くべきことは、0.95カラットでこれだけの高額がついたハンコック・レッドダイヤモンドも最高クオリティのものではなかった、ということです。
レッドダイヤモンドは、その色が「純粋な赤色にどれだけ近いか」が価値を大きく左右します。そしてその色の判別は基本的に「Fancy Red(ナチュラルな赤)」「Fancy Purplish Red(紫がかった赤)」「Fancy Orangy Red(オレンジがかった赤)」の3種類によって判断されます。
88万ドルで落札されたレッドダイヤモンドは「Fancy Purplish Red」で、紫がかった赤色であり、もっとも価値が高いとされるナチュラルな赤ではありません。しかし、それでもここまで高額となっています。
前述のムサイエフレッドが1カラットあたり2億円弱というとんでもない高額で買取されたのは、ムサイエフレッドのカラット数もさることながら、「Fancy Red」に分類されるものであるという点も、大きな原因となっています。
このように数少ない取引事例を見るだけでも、レッドダイヤモンドには非常に高い価値があることがわかります。
レッドダイヤモンドを目にする機会はそうそうない
天然そのままのレッドダイヤモンドは非常に希少であり、幻のダイヤモンドとまで言われています。
世間に出回っているレッドダイヤモンドのようなものは、人工ダイヤもしくは工業用などの低クオリティのダイヤモンドに着色などの加工をほどこしたもので、私たちが本物を目にする機会は、まずありません。遠い憧れのダイヤモンドとしてとらえておくのが正解でしょう。