【ダイヤモンド界のスター】ピンク・スター・ダイヤモンド

2020年4月14日 火曜日

【ダイヤモンド界のスター】ピンク・スター・ダイヤモンド

目次

  1. 1.ピンク・スターとは
  2. 2.ピンク・スターならではのオーバル・カット
  3. 3.ピンクになる要因とその価値
  4. 4.歴史に残る希少なピンクダイヤ「ピンク・スター」

2017年4月4日、競売大手のサザビーズが香港でオークションを開催しました。中でも目玉となったのは大型のピンクダイヤモンド「ステインメッツ・ピンク」。
過去競売にかけられたダイヤモンドの中でも最大級のサイズを誇るこのピンクダイヤモンドは、香港に拠点をもつコングロマリット(複合企業)の「周大福」によって落札されました。このニュースは瞬く間に世界中に知れ渡り、史上最高のピンクダイヤとして名をはせています。

今回は、そんなダイヤモンド界のスター、ステインメッツ・ピンク(ピンク・スター)についてご紹介します。

ピンク・スターとは

ダイヤモンドはよく見られる無色透明のものより黄色味を帯びたものが多く、ホワイトダイヤモンドに対してカラーダイヤモンドとして区別されています。
ダイヤとしての評価はカラーダイヤ<ホワイトダイヤというのが一般的ですが、一方、ブルーやグリーンなどのカラーダイヤは希少で、ホワイトダイヤよりも高価で取引される傾向にあります。

ピンクダイヤもこの例で、生産量がダイヤ全体のわずか0.1%ほどであることから非常に希少価値が高くなります。1999年に南アフリカのデビアス鉱山で採掘されたピンクダイヤは、原石の状態で132.50カラットと驚きのサイズを誇っていました。

このピンクダイヤはダイヤモンド貿易会社の「ステインメッツ社」が約20ヵ月間をかけてカッティングを施し、最終的に59.60カラットの宝石に生まれ変わりました。

カッティングを行ったステインメッツ社が研磨・所有したことからピンクダイヤは「ステインメッツ・ピンク」と命名され、2003年にはモナコで開かれた公会セレモニーで世に発表されました。
その4年後の2007年に売却された際、新たな持ち主によって「ピンク・スター」と名前が変更。

さらに6年後の2013年に、史上最高額である7,632万スイス・フラン(約83億円)で、ダイヤモンド研磨士であるアイザック・ウォルフ氏が落札し、名称を「ザ・ピンク・ドリーム」に変更する意向を示していました。ですが、なんと支払いの不履行によりオークション元であるサザビーズの手に戻ることになってしまいました。

そして2017年に開かれたオークションにて周大福に落札され、現在は会社の頭文字を入れた「CTFピンク・スター」に改名されています。

ピンク・スターならではのオーバル・カット

ダイヤモンドカットの種類はたくさんありますが、ピンク・スターに採用されているのはオーバル・ミックス・カットと呼ばれるカッティング方法です。
ミックスカットとは、宝石の輝きと透明度を最大限に引き出すブリリアントカットの視覚効果と、宝石の外周が四角形に象られたステップカットのデザイン効果を兼ね備えたカッティングデザインのこと。

1960年代に生まれた手法で歴史は浅いのですが、カッティングの定番であるラウンドブリリアントカットに迫る人気を博しています。
ピンク・スターはこのミックス・カットとオーバル(楕円形)を組み合わせたスタイルに仕上がっており、ピンク・ダイヤならではの色合いの美しさや繊細なモザイク模様の魅力が最大限に引き出されています。

ピンクになる要因とその価値

一般的なホワイトダイヤモンドは、4個の炭素原子が正四面体を形成する結晶構造となっており、すべての光を吸収するため無色透明に見えます。
しかし、炭素以外の原子が結晶格子内に混じったり、結晶構造に歪みが生じたりすると、一部の光だけ吸収しなくなり、人間の目から見てさまざまな色になるといわれています。

ただ、ピンク色になるには特定の条件が必要らしく、天然のピンクダイヤが採掘される場所はオーストラリアのアーガイル鉱山に限定されています。

ところが、アーガイル鉱山でも年々ピンクダイヤの生産量が減少していることから、2020年に閉山するという話が出ているようです。現時点で他にピンクダイヤのめぼしい採掘場所が発見されていないことから、閉山後は新たなピンクダイヤが誕生しない可能性もあります。

もともと希少性の高いピンクダイヤですが、閉山後はさらにその希少価値が跳ね上がることが予想されています。

歴史に残る希少なピンクダイヤ「ピンク・スター」

ステインメッツ・ピンクとして世に公表されて以来、世界中の注目を集め続ける史上最大のピンクダイヤ。最大の産地であるアーガイル鉱山の閉山が噂される現在、もうステインメッツ・ピンクのような最大級のピンクダイヤは生まれないかもしれません。
ただ大きいというだけでなく、希代の美しさを誇るピンク・スターは、間違いなく宝石史に残る伝説のダイヤモンドとなるでしょう。