ダイヤモンドのカラーについて
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ダイヤモンドの国際基準である4cの項目では、カラット(重さ)・カット(研磨)・クラリティー(透明度)・カラー(色)の4項目でグレーディングされます。
この4項目は、ダイヤモンドの輝きや美しさに紐付いていて、いずれかの項目のグレードが上がれば価値も上がります。その中でもカラーは、とても重要な要素となっています。
カラーのグレーディングは、アルファベットのD〜Zまでの23段階でグレーディングされ、Dの無色透明から徐々に黄色味を帯びていきます。Z以降の色が濃いダイヤモンドはファンシーカラーダイヤモンドと呼ばれ、希少性が高く、価値の高いダイヤモンドとなります。
ダイヤモンドのカラーは、色の濃さ、明度、彩度で、その価値に大きな影響を与えます。
ダイヤモンドカラーの特徴と価値
色が変わる仕組み
ダイヤモンドは、炭素(元素記号:C)で構成される物質です。そのダイヤモンドが構成される段階で不純物が入ると、色が付いたダイヤモンドが構成されます。この他にも、結晶構造の欠陥や歪みなどで色が変わります。従って無色透明なダイヤモンドは、不純物が入っていない事、更には、結晶に何の不具合も無い状態に構成された最高品質のダイヤモンドだということです。
ダイヤモンドの最も多い色が、窒素(元素記号:N)が混ざった黄色のダイヤモンドで、窒素が多ければ多いほど黄色味は強くなります。その他にも、色々な要素で変わる色を見てみましょう。
要素によって変わるファンシーカラー一覧表
色 | 要因 |
---|---|
イエロー | 窒素(元素記号:N)を含む |
ブルー | ホウ素(元素記号:B)を含む |
ブラウン | 窒素を含む or 結晶格子(※1)の歪み |
グリーン | 空孔と窒素をを含む or 結晶構造の欠陥 |
ピンク | 結晶構造の欠陥 |
レッド | 結晶構造の欠陥 |
ブラック | 黒鉛が全体に広がる |
※1.結晶格子とは、結晶を作っている原子・分子などの立体的な規則正しい配列構造。
この様に、ダイヤモンドは、様々な要因で色が変わると記載しましたが、まだ完全には科学的に解明はされていません。今後、科学の発展と共に、色が変わる要因が変わる可能性があります。
蛍光性について
世界的鑑別機関GIAの鑑定書には、Fluorescent(蛍光性)という項目があります。蛍光性とは、紫外線やX線などを当てると、様々な色と強さの蛍光を帯びるダイヤモンドの特質です。要因は、炭素原子以外の物質が紫外線やX線に反応して起きる現象です。蛍光性を帯びているダイヤモンドは、全体の3割前後と言われていて、直接ダイヤモンドの価値を変える要因にはなりません。ですが、近年では、個人的な好みで蛍光性が強いダイヤモンドを選ぶ人も多くなってきたことも確かです。
そして、人工ダイヤのキュービックジルコニアや、ダイヤの模造品で出回っているモアッサナイトなどのイミテーションダイヤは、蛍光性はないため、蛍光性のあるダイヤモンドは、ナチュラル(天然)の証でもあります。
Fluorescentに記載される名称一覧表
名称 | None | Faint | Medium | Strong | Very Strong |
---|---|---|---|---|---|
強さ | なし | 弱い | 中 | 強い | とても強い |
カラーグレードについて
GIAのマスターストーンが基準
現在、ほとんどの鑑別機関で作成されるグレーディングレポートの項目にあるカラーグレードには、GIAが定めたグレードが使用されています。
GIAのカラーグレードはD〜Zの23段階で分けられており、それぞれのグレードの基準となる23種類のマスターストーンが用意されており、熟練者がマスターストーンとグレーディングする宝石を目視で比較し、カラーグレードを決めます。
ダイヤモンドのグレーディングは、いかなる測定器でもその差をほとんど明確にできない程、曖昧で、且つ難しく、さらに極く僅かな色調の違いがダイヤモンドの評価に重大な影響を与えるため、最適な条件下において慎重に検査されなければなりません。
たとえば、人間は疲れた時と十分に休養した時ではカラーに対する感覚が違います。そのため、カラーグレーディングを長時間行っていると熟練者でも能率が落ち、グレーディングミスが生じる結果になってしまいます。
余談ですが、同じダイヤモンドを同じ鑑別機関に2回出して、違う結果が返ってくることもあります。それだけカラーグレーディングは難しいということです。
特にグレーディングの最適な時間は視力が1日の中で最も旺盛な起床2時間後位で、カラーグレーディング作業時間は2時間を越えないことが望ましいとされています。
ColorlessのD、E、Fでは色の違いを表わすというよりは、透明度の差によって区別されます。
GIAのカラーグレードは、カラーグレード表をご参照ください。
カラーグレード表
GIA | カラー等級 | 図 | 見え方 |
---|---|---|---|
D | Colorless 無色 | 熟練者が観察してもほとんど無色に見える。 | |
E | |||
F | G | Near Colorless ほぼ無色 | 熟練者が観察して、わずかに黄色味を感じられる。 |
H | |||
I | 熟練者が観察して、小粒のものは無色に見えるが大粒の物はやや黄色味を感じる。 | ||
J | |||
K | Faint Yellow 僅かな黄色 | 熟練者で無くても、黄色味を感じる。 | |
L | |||
M | |||
N | Very Light Yellow 非常に薄い黄色 | ||
O | |||
P | 熟練者で無くても、黄色みを強く感じる。 | ||
Q | |||
R | |||
S | Z |
Light Yellow 薄い黄色 |
Dから始まるグレード
GIAのカラーグレードは、A〜Cを飛ばし、Dカラーを最高として始まります。GIAがカラーグレーディングを定める以前のグレーディングは、アルファベットのA、B、C...と続くグレードや、ローマ字のⅠ、Ⅱ、Ⅲ...と続くグレード、アラビア数字の0、1、2、と続くグレードなど、世界的に統一されていませんでした。
そこで、GIAが、今までに無い全く新たなカラーグレードを定めるため、今までに最高グレードとして使用されていないアルファベットのDを最高とし、最低のZまでのアルファベット順23段階に分けました。
現在では、ほとんどの鑑別機関のグレーディングレポートにGIAのカラーグレードが採用され、世界的に一貫したカラーグレードとして使用されています。
ダイヤモンドのカラーグレードチャート
D〜F
G〜H
I〜J
K〜L
M〜N
O〜P
Q〜R
S〜T
U〜V
W〜X
Y〜Z
Fancy
- D
- (Colorless・無色)
熟練者が観察してもほとんど無色に見える。
- E
- (Colorless・無色)
熟練者が観察してもほとんど無色に見える。
- F
- (Colorless・無色)
熟練者が観察してもほとんど無色に見える。
ファンシーカラーダイヤモンドについて
Z以降のダイヤはファンシーカラー
カラーグレードがZ以降の濃い色のダイヤモンドは、ファンシーカラーダイヤモンドとして分別されます。ファンシーカラーダイヤモンドは、色で分類分けされ、更には、明度・彩度で分けられます。
ファンシーカラー表
ファンシーカラーは、色によって滅多に市場に出回らない希少性の高いものから、一般に身につけられている希少性が低いものが存在します。
ファンシーカラー希少性一覧表では、大まかに8つのカラーに分類し、ファンシーカラーダイヤモンドの希少性を表しています。クラリティーやカットなどで価値は変わるので、あくまでご参考までにご覧ください。
ファンシーカラー希少性一覧表
希少性 | 色(8つの色に分類) |
---|---|
最も高い | レッド・パープル・ピンク |
高い | ミディアムブルー・グリーン |
やや高い | グリーン・ライトブルー |
普通 | オレンジ・イエロー |
明度・彩度で異なるファンシーカラーダイヤモンド
ファンシーカラーダイヤモンドの明度・彩度は、多色のバリエーションを更に細分化し、大きく価値を変えます。
その中でも、特に価値が高いファンシーカラーダイヤモンドは、上質で鮮やかな色合いをしたファンシービビットです。2013年11月12日、世界で最も長い歴史を誇る美術品オークションハウス、クリスティーズのジュネーブオークションで、14.82ctのファンシービビットオレンジダイヤモンドが3260万スイスフラン(日本円で約35億4000万)で落札されました。1ct当たりの金額は約2億4000万円とオークションで落札された1ct当たりの価格では最高記録となりました。
名称 | 色の濃さ |
---|---|
Fancy Vivit(ファンシービビット) | 上質で鮮やかな色合い |
Fancy Deep(ファンシーディープ) | 上質で深い色合い |
Fancy Dark(ファンシーダーク) | 上質で暗い色合い |
Fancy Intense(ファンシーインテンス) | 上質で濃い色合い |
Fancy(ファンシー) | 上質な色合い |
Fancy Light(ファンシーライト) | 上質な薄い色合い |
Light(ライト) | 薄い色合い |
Very Light(ベリーライト) | 非常に薄い |
Faint(フェイント) | 弱い色合い |
代表する3つのファンシカラーダイヤモンド
ファンシーイエローダイヤモンド
南アフリカのケープ州では、黄色味が多いダイヤモンドが多く産出され、それを宝石商は「ケープ」と呼びます。無色でもない、黄色みの程度が薄いケープは、産出が多く、希少性が低くいのですが、濃いめで美しいケープは、ファンシーイエローダイヤモンドと呼ばれます。
ファンシーイエローダイヤモンドは、オレンジを帯びていないカナリア色やレモン色が好まれ、価値が高くなります。
イエローダイヤモンドは、カラーエンハンスメント(人工処理)や、合成イエローダイヤモンドが作られており、宝石としての価値が無いので注意が必要です。
ファンシーピンクダイヤモンド
ファンシーピンクダイヤモンドは、オーストラリアのアーガイル、南アフリカのカリナン鉱山、タンザニア、ザイール、アンゴラ、ロシアのアーケンシェル鉱山などで産出されます。
供給がごく僅かであることから、非常に高価です。なかでも大粒のものになるとほとんどが還流品になります。
それ以外のファンシーまで達っしていないピンクダイヤモンドは、比較的安価で購入ができ、大変人気が高いダイヤモンドです。ですが、カラーエンハンスメント(人工処理)で着色したり、人工ピンクダイヤも非常に多く出回っていますので、注意が必要です。
ファンシーブルーダイヤモンド
ファンシーブルーダイヤモンドは、南アフリカのプレミア鉱山から希に産出されます。色は、薄くてもグレーがかっていないものが良いとされていますが、絶対的な産出量が少ないため、理想的な品質を求めるのは非常に困難だと言えます。
世界で最も有名なカラーダイヤモンド
ホープダイヤモンド
9世紀頃にインド南部のデカン高原から発見されたホープダイヤモンドは、歴代の所有者に不幸をもたらし「呪いの宝石」と呼ばれてきました。
ホープダイヤモンドは、元々112.50ctと大変重たく、大きなダイヤモンドでしたが、当時フランス王国国王ルイ14世が所有していた際にハート型にリカットされ、69.03ctに形を変えました。その後、アンティーク・クッションに再度リカットされ、当初から比べると半分以下の44.52ctになり現在に至ります。
現在では、アメリカ合衆国の国立自然史博物館に所蔵され、多くの方々を魅了しています。
カラー | Fancy Dark Grayish Blue | カラット | 45.52ct |
---|---|---|---|
カット | アンティーク・クッション | 推定価格 | 220億円〜270億円 |
ドレスデン・グリーン
ドレスデン・グリーンは、現在から約300年ほど前にインド共和国アーンドラ・プラデーシュ州のコラール鉱山で発見されたとされています。名前の由来は、長い間、所有者が変わらず、ドイツ・ザクセン州の州都ドレスデンで展示されていたことから、命名されました。
元々は、ザクセン王家の宝物館に展示されていたドレスデン・グリーンですが、現在は、新設されたノイ・グリュネ・ゲポルベ(Neues Grünes Gewölbe 日本語略:新しい緑の丸天井)に展示されています。
ドレスデン・グリーンは、内部に傷が一切無い完璧な状態でありながらも、不純物元素が混入していない炭素のみで構成されている大変珍しいⅡa型(参照:※1)です。Ⅱa型は、全体割合の2%以下だと言われています。
ダイヤモンドの4つに分類される原子含有タイプ(※1)
型名 | 含有物質 | 色 | 備考 |
---|---|---|---|
Ⅰa型 | 窒素 | 無色 or 淡いイエロー | ダイヤモンドの95〜98%がⅠa型です。2個、あるいは4個で集合した窒素原子が含有しています。 |
Ⅰb型 | 窒素 | ファンシーイエロー | 窒素原子が単原子状で混入しています。高温で加熱するとⅠa型に変化します。 |
Ⅱa型 | 炭素のみ | 無色透明 | ダイヤモンド(宝石)全体の2%ととても少ないタイプになります。 |
Ⅱb型 | ホウ素 | ブルー | 窒素はほぼ含有していません。ダイヤモンドは絶縁体ですが、Ⅱb型のみ半導体になります。Ⅱa型よりも稀少です。 |
カラー | Fancy Intense Blueish Green | カラット | 41ct |
---|---|---|---|
カット | アンティーク・ピア・シェイプ・ブリリアント・カット | 推定価格 | 220億円〜270億円 |
ピンク・スター
ピンク・スターは、ファンシー・ビビッドピンクの評価(カラー評価機関:GIA)を受けたダイヤモンドの中で世界最大です。
2013年に世界最古の国際競売会社サザビーズが開催したサザビーズオークションで史上最高額7632万スイス・フラン(約83億円)で落札されたダイヤモンドです。
1999年に南アフリカで発見され、20ヶ月もの月日を掛け、ステップカット(クラウン側)とブリリアントカット(パビリオン側)を合わせたミックスオーバルブリリアントカットに研磨されました。
ピンク・スターは、研磨時にシュタインメッツ・グループが所有していたため、シュタインメッツピンクと名付けられていましたが、2007年に新しい所有者にピンク・スターと改名されました。
カラー | Fancy Vivid Pink | カラット | 41ct |
---|---|---|---|
カット | ミックスオーバルブリリアントカット | 落札価格(最新) | 約83億円 |
ティファニーイエローダイヤモンド
1878年に南アフリカのキンバリー鉱山で発見された、287.42ctのファンシーイエローダイヤモンドは、ティファニーが買取り、鉱物学者、鉱物収集家であるジョージ・フレデリック・クンツに研磨を依頼しラウンドブリリアントカットより32面多い90面のクッションブリリアントカットに研磨され、その際に128.54ctになりました。
今までにティファニーイエローダイヤモンドは、ティファニー主催の舞踏会のホストだったエドウィンシェルドンホワイトハウス(アメリカ外交官)夫人、「ティファニーで朝食を」の主演を演じた世界的大女優オードリー・ヘプバーン、世界的人気アーティストレディーガガ、ハリウッドスター、ガル・ガドットの4名だけが着用しました。
カラー | Fancy Yellow | カラット | 128.54ct |
---|---|---|---|
カット | モディファイドアンティーククッションブリリアントカット | 価格 | 約14億円(ティファニーが1983年に販売した価格) |
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