ダイヤモンドのカッティングについて

2020年4月14日 火曜日

ダイヤモンドのカッティングについて

目次

  1. 1.ダイヤをカットする理由
  2. 2.カットデザインの種類
    1. 楕円形で落ち着いた雰囲気が出るオーバルブリリアントカット
    2. 小粒でも輝きを放つマーキーズブリリアントカット
    3. ティアドロップとも呼ばれる涙型のペアシェイプブリリアントカット
    4. ファンシーカットの一種で四角い形のエメラルドカット
    5. 49面体の四角いシルエットが特徴のプリンセスカット
  3. 3.ブリリアントカットの定義
  4. 4.ダイヤモンドの魅力はカッティング技術にかかっている

多くの人を魅了するダイヤモンド。そして、その原石を美しい宝石に仕上げるために欠かせないのがカッティングです。ここでは、ダイヤモンドの魅力を最大限に引き出すために、長い年月をかけて編み出されたカッティングの意義や種類、ブリリアントの定義などについて説明します。

ダイヤをカットする理由

ダイヤモンド原石
ダイヤモンド原石

ダイヤモンドと言うと指輪やネックレスなどに用いられる美しい宝石を思い浮かべる人が多いのですが、掘り出されたままの原石は形も色もまちまちで、きれいな状態のものは少ないと言われています。その原石をカッターと呼ばれる研磨職人が磨き上げ、宝石としての美しさを引き出すことをカッティングと言います。

もともとダイヤの屈折率は2.42と鉱石の中でも高く、内部での全反射が起こりやすい性質を持っています。ですが、カッティングを施すことによって、表面反射によるチカチカとした輝き(シンチレーション)や、白くて強いきらめき(ブリリアンシー)、虹色の輝き(ディスパージョン)を放つようになります。 これら3つの輝きがそれぞれ相乗効果を発揮し、ダイヤならではの美しい輝きを生み出すわけです。

ダイヤモンドの品質は色(color)、透明度(clarity)、重さ(carat)、そして研磨(cut)の4Cで表されますが、このうち色や透明度、重さは採掘された時点ですでに決まっています。ですが、ダイヤモンドに宝石としての価値をつけるカットは、職人の技によって善し悪しが決まります。

そんな事情があり、宝石業界においてダイヤモンドカッターは貴重な存在。特に自社で優秀なカッターを抱えており、ダイヤモンドを原石から切り出してカッティングを施すブランドは「カッターズブランド」と呼ばれており、中でも「ロイヤル・アッシャー」「モニッケンダム」「ラザールダイヤモンド」の3者は王族からも愛される「世界三大カッターズブランド」として名をはせています。

シンチレーション
シンチレーション
ブリリアンシー
ブリリアンシー
ディスパージョン
ディスパージョン

カットデザインの種類

ひと言にダイヤのカットと言ってもさまざまな種類があります。数が多いためすべてを紹介することはできませんが、代表的なものをいくつかピックアップしてみました。

楕円形で落ち着いた雰囲気が出るオーバルブリリアントカット

オーバルカット

ラウンドブリリアントが円形であるのに対し、オーバルブリリアントカットは楕円形のデザインです。表情が柔らかく、落ち着いた雰囲気を醸し出すことができます。

小粒でも輝きを放つマーキスブリリアントカット

マーキスカット

マーキスブリリアントカットは、両端がとがった形のデザインです。シャープなシルエットは小粒でも強い輝きを放つため、サファイアやルビーのサイドストーンなどに用いられます。

ティアドロップとも呼ばれる涙型のペアーシェイプブリリアントカット

ペアーシェイプカット

ペアシェイプブリリアントカットは涙型のカットデザインで、別名「ティアドロップ」とも呼ばれています。片方の先端がとがっているので、指輪につけると指をすらりと長く見せる効果があると言われています。

ファンシーカットの一種で四角い形のエメラルドカット

エメラルドカット

エメラルドカットは四角い形が特徴のカットデザインで、名前の通りエメラルドに多用されます。世界三大美女のひとりであるクレオパトラにも愛されたファンシーカットの一種として有名です。

49面体の四角いシルエットが特徴のプリンセスカット

プリンセスカット

プリンセスカットは1970年代以降に誕生した比較的新しめのカットデザインです。ブリリアントカットをアレンジした49面体の四角いシルエットで、柔らかいきらめきを放つのが特徴です。

ブリリアントカットの定義

ダイヤモンドルースのフェイスアップ

ダイヤモンドカットの中でも定番かつ最もポピュラーなカッティング方法がブリリアントカットです。17世紀にヴェネツィアで原形が誕生しましたが、それを現在の形に仕上げたのは、ダイヤモンド加工業の名門であるトルコフスキー家のマルセル・トルコフスキー。

宝石職人であると同時にベルギーの数学者でもあったトルコフスキーは、ダイヤモンドの反射や屈折率といった光学的特性を数学的な面から考慮しました。その結果をもとに、ファセットと呼ばれる切子面の形や角度を算出し、ダイヤが最も美しく輝く58面体の型を編み出しました。これが基本的なブリリアントカットの特徴です。

ブリリアントカットのダイヤは上部から光を当てるとすべて内部で全反射し、再度上部から放たれる仕組みになっており、ダイヤモンドの輝きが最大限に際立つ仕組みになっています。

ダイヤモンドの魅力はカッティング技術にかかっている

原石のままでは形も色もまちまちなダイヤモンドですが、カッターと呼ばれる研磨士が自身の技術を駆使して磨き上げると、その魅力を最大限に発揮します。
同じ原石を使ってもカッティングによって美しさや輝きは異なると言われており、ひとつひとつの表情を楽しめるのもダイヤモンドならではの魅力となっています。