不幸を呼び寄せるダイヤモンド!?ブラック・オルロフ
2020年4月14日 火曜日
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ダイヤモンドといえば無色透明のものに特に価値がある、と思われがちですが、近年はブラックダイヤモンドも「高級感がある」として、その注目度を高めています。そして、ブラックダイヤモンドの中でも特に世界的に有名なのが、呪いのダイヤとも呼ばれている「ブラック・オルロフ」です。
呪いのダイヤと呼ばれる所以
ブラック・オルロフが呪いのダイヤと呼ばれる所以は、「所有者が次々と死を迎えた」という逸話にあります。ブラック・オルロフの原石であったとされる、195カラットの黒いダイヤモンド原石の売却に携わったダイヤモンドディーラーの自殺。そして、所有者となったロシアの王族や王妃までもが相次いで自殺をしたという話が、ブラック・オルロフを「呪いのダイヤ」と言わしめた原因です。
その後は呪いを解くためにリカットされ、数多くの所有者の手に渡り、博物館などに一般公開もされています。しかし、ブラック・オルロフの呪いに関する逸話には、疑問を呈する声も少なくありません。
たとえば、ブラック・オルロフの所有者の一人であったとされるロシア王妃・ターシャ・ペトローヴナ・オルロフは、実在していないといわれています。さらに、ブラック・オルロフに施されたカットの技術が、当時には存在していなかった技術であるともいわれています。つまり、博物館に展示されるなど、ブラック・オルロフといわれるブラックダイヤモンドの存在は認められているものの、呪いに関する逸話については疑問視する部分も多いということです。
ブラック・オルロフの特徴
ブラック・オルロフの最大の特徴は、その大きさです。原石の時点では195カラットもあり、リカット後も67.5カラットという圧倒的な大きさを残しました。形状の特徴としては、上から見た際に、宝石の形が「角が丸みをおびた四角」になっているクッションカットが施されていることが挙げられます。
また、自然のブラックダイヤモンドは、ダイヤモンドができるまでのプロセスで内包物(インクルージョン)が入ることにより、黒く見えています。ブラック・オルロフもまた、ダイヤモンドを黒く見せるインクルージョンがたくさんあるため、黒い見た目になっているのです。
ブラック・オルロフの価値
ブラック・オルロフの価値として参考になるのは、2006年10月にニューヨークのクリスティーズで開催されたオークションの落札金額である35万2千ドル(約4,000万円)です。こちらが現在分かっている最新の落札金額であり、ここから10年以上経っているので、インフレなどの影響もあり、今なら4,000万円よりもさらに多少価値が上がっていると考えられます。
さて、そうなってくると気になるのが、ブラック・オルロフ以外のブラックダイヤモンドの価値はどのくらいか、ということ。仮に、ブラック・オルロフのように、巨大でデザイン性にもすぐれた天然のブラックダイヤモンドが出れば、かなりの価値がつくでしょう。ですが、そんなケースでなければ、残念ながらそれほど期待はできません。
なぜなら、天然のブラックダイヤモンドは少なく、現在出回っているブラックダイヤモンドのほとんどが人工物である、という事情があるからです。また、天然ダイヤとうたわれているブラックダイヤモンドであっても、質の良くない工業用の天然ダイヤに、着色やコーティングなどの改変をするトリートメント処理をほどこし、黒色を演出しているものも少なくありません。
さらに、仮にトリートメント処理を施していない、本当に天然のブラックダイヤモンドであったとしても、天然であるがゆえに黒色にムラがありすぎるなど、問題を抱えているものが非常に多いのです。そのため、無色透明のダイヤモンドと比べると、安値になってしまう可能性がきわめて高いという傾向があります。
ブラック・オルロフはあくまで特別
呪いのダイヤといわれるブラック・オルロフ。その逸話を疑問視する声はありますが、博物館に一般公開されたりオークションで落札された歴史があるため、存在自体は認められています。
しかし、今世間に出回っているブラックダイヤモンドには、ブラック・オルロフのような高い価値は期待できません。ブラック・オルロフは、あくまでブラックダイヤモンドの中でも突出した特別な存在だからこそ価値があるのです。したがって、他のブラックダイヤモンドの価値は、無色透明のダイヤモンドを下回るケースがほとんどです。