【緑色のダイヤ】ドレスデン・グリーン
2020年4月14日 火曜日
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ドイツの至宝と称えられるダイヤモンドがあるのをご存知でしょうか。ドイツの美しい都市ドレスデンで今も保管されているそのダイヤモンドは、ゆかりある都市の名前と魅力的なカラーを合わせて「ドレスデン・グリーン」という名前で呼ばれています。
ここでは、そんなドレスデン・グリーンの歴史と、グリーン・ダイヤモンドについて解説します。
グリーン・ダイヤモンドとは
ドレスデン・グリーンは、41カラットの緑色のダイヤモンドです。大きな涙形にカットされており、はっきりとした鮮やかな緑色が特徴です。産地は南インドではないかと推測されていますが、ブラジルという説もあり明確な産地は分かっていません。
このドレスデン・グリーンは、カラーダイヤモンドの中でもっとも有名な青いダイヤモンド「ホープ」と姉妹ダイヤモンドとして扱われることがあります。というのも、この二つのダイヤモンドは大きさや強い発色の美しさ、ヨーロッパ王家に所有されたという経歴が似ており、さらに産地も同じではないかと推測されたためです。
ただ、ホープダイヤモンドはフランス王家が手放した後世界中を転々としましたが、ドレスデン・グリーンは第二次世界大戦後に一時的にモスクワに移動した以外は常にドレスデンで保管されていました。ドレスデン・グリーンは、1742年にドレスデンにわたってから、実に200年という長い間ドレスデンに留まり続けることになったのです。
ドレスデン・グリーンの歴史
ドレスデン・グリーンは18世紀の初め頃に採掘され、ロンドンの宝石商によってイギリス国王に紹介されました。彼は当時のイギリス国王に持ち帰った素晴らしいグリーン・ダイヤモンドを購入しないかと持ち掛けたのですが、購入してもらえませんでした。
宝石商は次に、当時のポーランド国王に売却を持ちかけましたが、またしても購入してもらえませんでした。その後、彼が手放したグリーン・ダイヤモンドはオランダ商人の手に渡り、1741年にライプチヒの見本市に出展され、そこで2代目のポーランド国王によって購入されたのです。
大きなグリーン・ダイヤモンドは国王によって帽子につけるためのブローチに加工され、第二次世界大戦の終結までドレスデンに留まり続けることになりました。グリーン・ダイヤモンドの豪華なブローチは第二次世界大戦前までは一般公開されており、その美しさで人々の目を楽しませていましたが、第二次世界大戦終戦後にソビエト連邦の戦利品としてモスクワへと運ばれました。
1958年、ダイヤモンドはモスクワから返還され、再びドレスデンの地へ戻ってきました。200年の間ドレスデンで輝きつづけていたグリーン・ダイヤモンドは、その美しい色合いと所縁ある都市の名前から「ドレスデン・グリーン」という名前で呼ばれるようになり、人々に親しまれるようになりました。ドレスデン・グリーンは、現在もドレスデン城の中で展示されています。
グリーン・ダイヤモンドの意味と効果
グリーンのダイヤモンドは安らぎと繁栄、そして永遠の絆を意味するといわれています。その意味はまるで、所縁ある土地に留まり続け、人々に親しまれたドレスデン・グリーンの逸話のよう。
市場に出回っているグリーン・ダイヤモンドはそのほとんどが放射線処理で色をつけた人工ものですが、その石言葉とドレスデン・グリーンの逸話から、結婚指輪や婚約指輪の内側に入れ込むお守り石としても高い人気を集めています。
ドレスデン・グリーンはグリーン・ダイヤモンドの中でも非常に貴重なもの
グリーン・ダイヤモンドは、地中で天然の放射線を浴びることで色合いが変化して発生するといわれており、ダイヤモンド全体の2%以下の産出量しかありません。
特に、ドレスデン・グリーンのような鮮やかな緑色のグリーン・ダイヤモンドは滅多に市場に出回ることもなく、非常に貴重なもの。ドイツの至宝と呼ばれるのもうなずけるほどに希少なダイヤモンドであることは間違いありません。