【最大級のイエローダイヤ】ティファニー・イエロー・ダイヤモンド
2020年4月14日 火曜日
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ダイヤモンドは、無色透明のものより黄色味や褐色を帯びたもののほうが産出量は上です。特にイエローダイヤは数が多く、一般的には無色透明のダイヤより価値が下がるといわれています。
しかし、中には例外もあります。そのうちのひとつが、ニューヨーク五番街のティファニー本店に展示されている「ティファニー・イエロー・ダイヤモンド」。
ティファニーといえばシルバーアクセサリーを思い浮かべる人も多いかと思いますが、実はイエロー・ダイヤモンドの権威でもあるのです。
ここでは、ティファニー・イエロー・ダイヤモンドの由来やイエローダイヤができる仕組みなどについて解説します。
ティファニー・イエローの由来
ティファニーがイエロー・ダイヤの権威として知られるようになったのは、1878年にティファニーの創立者であるチャールズ・ルイス・ティファニーが、南アフリカで発見されたイエロー・ダイヤの原石を18,000ドルで購入したのがきっかけです。
原石は287.42カラットという破格の大きさで、チャールズは後にティファニーの副社長に就任するDr.ジョージ・フレデリック・クンツに原石のカットを一任。
クンツはこの原石をイエロー・ダイヤが最も美しく輝くクッションシェイプにカットし、その結果、128.54カラットの美しいティファニー・イエロー・ダイヤモンドが誕生しました。
黄色いダイヤモンドが出来るには
ダイヤモンドに色がつくメカニズムは未だ全容の解明には至っていません。ですが、炭素原子以外の不純物原子が混じっていたり、原子が欠落していたり、結晶構造がゆがんでいたりすると特定の波長を吸収し、ダイヤモンドに色がついたように見えるといわれています。
不純物の種類はいろいろありますが、イエローダイヤの原因となるのは窒素で、原子の集合状態の違いによって色調が変化するとされています。
色の原因となる不純物で最も多数を占めるのが窒素であることから、イエローダイヤ自体はさほどめずらしくありません。ですが、まれに窒素原子が孤立したIb型と呼ばれるダイヤモンドが産出されることがあり、そのうち彩度の高いものは鮮やかで希少価値の高いイエローダイヤになると言われています。
独特のカッティング
ティファニー・イエロー・ダイヤモンドのカッティングを最初に任されたジョージ・フレデリック・クンツは、世界でも著名な鉱物学者であり、宝石学者でもありました。
少年時代から大の鉱物マニアであったクンツは、成人前に4千点以上もの鉱物標本を収集し、さらに独学とフィールドワークによって鉱物学の権威となった人物。
その博識さを認められてティファニーに就職し、わずか23歳で副社長に就任したという実績は、彼の鉱物に対する知識と技術、熱意の高さを裏付けています。
そんな彼がカットを手がけたティファニー・イエロー・ダイヤモンドは、標準的なブリリアントカットより24面多い82面のカットが施されたクッションカット。
イエロー・ダイヤは多面にするとまるで炎が燃えているような風合いとなり、無色透明のダイヤにはない独特の魅力を醸し出しています。
もちろんそれには卓越した技術と緻密な計算が必要で、ティファニー・イエロー・ダイヤモンドが完成されるまでにはおよそ1年もの歳月を要したのだとか。
カッティングされたティファニー・イエロー・ダイヤモンドはその後何度かデザインを変えてお披露目されましたが、そのうち最も有名なのが映画「ティファニーで朝食を」で主演のオードリー・ヘップバーンが身につけたリボンモチーフのネックレスです。
1995年には、イエローダイヤの上にダイヤ製の鳥が乗った独特のデザインを採用した「Bird on a Rock」と呼ばれるブローチに変身。そして2012年には、創業175周年を記念してホワイト・ダイヤモンドと組み合わせたネックレスになり、ティファニー本店に訪れる人の目を楽しませています。
ティファニーの歴史と技術を象徴するイエローダイヤ
ティファニー・イエロー・ダイヤモンドは、ティファニーの歴史と技術を象徴した世界有数のイエローダイヤです。ニューヨーク五番街の本店に行けばいつでも鑑賞することができますが、日本でもこれまでに二度、銀座本店にて期間限定で一般公開されたことがあります。今後そのような機会があれば、ぜひその目でイエローダイヤの美しさを確かめてみることをおすすめします。