世界のダイヤモンドを一元管理するデビアス社

2020年4月14日 火曜日

世界のダイヤモンドを一元管理するデビアス社

INDEX

  1. 1. デビアス創業秘話
    1. 植民地支配とデビアスの誕生
    2. 時代の移り変わりとデビアスの成長
    3. デビアスの新しい挑戦
  2. 2. デビアス独自のダイヤモンド評価基準
  3. 3. 人工ダイヤモンド『ライトボックス』のジュエリーショップを展開
  4. 4. ダイヤモンドの王、デビアスの輝きを

宝石界で「ダイヤモンドといえば、デビアス」と、その名を轟かせる世界最大のダイヤモンドカンパニー「デビアス(DE BEERS)」。デビアスは、有名ダイヤモンド鉱山の採掘権を独占し、100年以上にわたって世界中のダイヤモンドの価格をコントロールしてきました。ダイヤモンド市場で巨大な影響力を持つデビアスは、どのように誕生したのでしょうか?デビアス独自のダイヤモンドの評価基準や、人工ダイヤモンドのジュエリーショップ展開についても、併せてご紹介いたします。

デビアス創業秘話

ダイヤモンド界の王者であるデビアスがどのように誕生し、巨大企業へと成長を重ねてきたのか、その変遷を詳しく見てみましょう。

植民地支配とデビアスの誕生

いまや世界一のダイヤモンドカンパニーに成長したデビアスは、1880年にイギリスの元首相セシル・ローズらによって、ダイヤモンド採掘企業として創業されました。これは当時南アフリカ共和国を植民地支配していたイギリスが、南アフリカの豊かなダイヤモンド鉱床を独占することが狙いでした。

デビアスは、ユダヤ人財閥ロスチャイルド家の支援によって勢力を拡大し、ボツワナ政府と共同でデブズワナ社を、ナミビア政府と共同でナミデブ社を所有していきます。短期間のうちに、イギリス本国の巨大ダイヤモンドシンジケート「ロンドン・ダイヤモンド・シンジケート」と販売契約を結ぶまでになり、二度の世界大戦によるダイヤモンド需要もあり、さらなる巨大組織へと成長していきました。

時代の移り変わりとデビアスの成長

その後デビアス社の経営は、親会社の「アングロ・アメリカン」と共に、ユダヤ人財閥オッペンハイマー家に移ります。デビアスはダイヤモンドの取引市場において、全世界で100社未満の「サイトホルダー」と呼ばれる企業(日本ではTASAKIのみ)にダイヤモンドを販売することにより、ダイヤモンドの流通、価格をコントロールしてきました。

全盛期はダイヤモンドの流通市場の90%以上のシェアを誇るほど、名実ともにデビアスはダイヤモンドの王でした。現在は新興ダイヤモンド鉱山勢力の進出などにより、そのシェアは市場の50%を割り込んでいますが、それでもなおデビアスが世界最大のダイヤモンドカンパニーであることには変わりありません。

デビアスの新しい挑戦

2001年、デビアス社は新たな市場を開拓するため、ダイヤモンドの小売業を展開することを決定しました。ルイヴィトン(LOUIS VUITTON)をはじめとするファッションブランドを多数抱える「LMVH社」と共同で「デビアス・ダイヤモンド・ジュエラーズ」を立ち上げ、大成功をおさめたのです。2003年、日本でもデビアスの直営店が銀座、日本橋、新宿などにオープンし、広く一般にもその名を知らしめました。

2017年、デビアスはLMVH社と「デビアス・ダイヤモンド・ジュエラーズ」の合弁を解消し、親会社「アングロ・アメリカン」の元に戻りました。そして同年、日本における店舗戦略を見直すため、日本国内の直営店はクローズされてしまいます。一時期は日本全国に8か所存在したデビアスショップですが、現在は国内では購入できない、幻のダイヤモンドとなってしまっているのです。

デビアス独自のダイヤモンド評価基準

デビアス社といえば、独自のダイヤモンド評価基準に基づいた、高品質なダイヤモンドのみを取り扱うことで有名です。

たとえば、「デビアス・ダイヤモンド・ジュエラーズ」と同時にスタートした「フォーエバーマーク・ダイヤモンド」は、業者向けダイヤモンドブランドとして、世界のダイヤモンドの上位1%未満の高品質な石だけを取り扱うことで大成功しました。

フォーエバーマーク・ダイヤモンドで取り扱うダイヤモンドは「0.14カラット以上」「カラーはL以上」「クラリティはSI2以上」「カットはベリーグッド」という、厳しい基準をクリアした石のみ。圧倒的なダイヤモンドのシェアを誇るデビアスだからこそできる品揃えとして、ブランドとしての価値はさらに高まりました。

それ以外にも、デビアスのダイヤモンドはすべて、デビアス独自の評価基準をクリアしたものとして定評があります。一般的な基準である「4C(カラー、クラリティ―、カット、カラット)」に加えて、独自基準である「ファイヤー(光の屈折が生む虹色)」「ライフ(きらめき)」「ブリリアンス(透明感)」という3つの評価を重視し、この上ない輝きを持つダイヤモンドのみを取り揃えているのです。

人工ダイヤモンド『ライトボックス』のジュエリーショップを展開

このように絶えずさまざまな挑戦を続けてきたデビアスですが、現在は人工ダイヤモンドの開発・販売に乗り出しています。デビアスはミレニアル世代の消費者たちに注目し、若い世代がメモリアルギフトとして気軽にダイヤモンドを購入できるよう、安価で美しい人工ダイヤモンドのジュエリーラインをスタートすることを決定しました。

デビアスの「ライトボックス・ジュエリー」と呼ばれる人工ダイヤのジュエリーは1カラットあたり800ドル(2019年3月現在で約88,000円)から購入できるそうです。まずアメリカで先行ネット販売からスタートし、今後シェアを広げていくことが期待されています。

ダイヤモンドの王、デビアスの輝きを

さまざまな歴史の波にもまれながら、世界最大のダイヤモンドカンパニーへと成長をとげたデビアス。天然・人工を問わず、デビアスのダイヤモンドは常に私たちの憧れです。

人工ダイヤモンドの登場により、デビアスのファンはさらに若い世代へと広がっていくことでしょう。