気品溢れるパープルダイヤモンド
2020年4月14日 火曜日
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紫色は日本でも古くから高貴な色とされてきましたが、ダイヤモンドにも紫色をしたパープルダイヤがあります。天然ダイヤモンドのわずか0.1%しか存在しないカラーダイヤモンドのなかでも、とくにパープルダイヤはレッドダイヤに匹敵する価値があり、とても希少度の高いダイヤです。
そこで今回は、パープルダイヤの特徴をまとめました。透明なダイヤモンドにパープルの色がつく理由や、パープルダイヤの種類、さらにはパープルダイヤにまつわる歴史こぼれ話などをわかりやすく解説します。
気品あふれる紫色をしたパープルダイヤの特徴
聖徳太子が定めた冠位十二階制度の最高位が紫色であったように、日本では昔から紫を高貴な色だとみなしてきました。カラーダイヤモンドにおいても、パープルダイヤはレッドダイヤに匹敵する希少価値があります。ここではパープルダイヤに色がつく理由や、パープルダイヤと判定される基準を解説します。
ダイヤモンドが紫色になる理由は結晶構造に圧力を受けるため
ダイヤモンドには2種類あり、微量の窒素を含むタイプⅠ型と、検出可能な量の窒素を含まないタイプⅡ型が存在します。タイプⅡ型は全体のわずか2%ほどしか存在せず、このグループのなかにカラーダイヤモンドも含まれます。
タイプⅡ型のダイヤモンドが地球内部でつくられる際、ダイヤモンドの結晶構造が圧力を受けることがあります。結晶構造が変形すると、特定のスペクトルの光を吸収する性質を持つことがあり、肉眼でピンク、赤、紫、オレンジ、褐色などに見えるようになります。これが、カラーダイヤモンドが生まれる仕組みです。
天然のカラーダイヤモンドは全体の0.1%しか存在せず、とくにレッドダイヤとパープルダイヤはめったに見つかりません。また、たいていのレッドダイヤやパープルダイヤは1カラット未満しかないため、5カラットを超えるパープルダイヤには、レッドダイヤに匹敵するほどの希少価値があります。
パープルダイヤに見えてもピンクダイヤと鑑定されることも
カラーダイヤモンドは基準となるマスターストーンとの比較や、カラーチャートを参照することで、「彩度」と「明度」の観点から厳密にグレーディングされます。したがって、肉眼では紫色に見えたとしても、パープルダイヤとは限りません。よりグレードの低いピンクダイヤと鑑定されることもありますし、色が濃い場合はブラウンダイヤと鑑定されることもあります。
とにかく貴重なパープルダイヤの歴史
パープルダイヤはとにかく貴重であるため、カラーダイヤモンドの歴史のなかで独特の存在感を放ってきました。2002年には世界最大のパープルダイヤが発見されましたし、2014年にはパープルダイヤに驚きの値がつけられています。
2002年にロシアで世界最大のパープルダイヤが発見される
2002年にロシアで世界最大のパープルダイヤの原石が発見されました。原石は7.34カラットのきれいなハート型にカットされ、「ロイヤル・パープル・ハート(Royal Purple Heart)」と名付けられています。7.34カラットというとそれほど重量がないように見えますが、パープルダイヤやレッドダイヤは1カラット未満のものがほとんどのため、まさに破格のサイズでした。
2014年に香港で400万ドルの値がつけられたパープルダイヤも
2014年に香港のオークションで、「ザ・パープル・オーキッド(The Purple Orchid)」というパープルダイヤが出品されました。重量はわずか3.37カラットでしたが、1カラットあたり120万ドル(約1億3,334万円)の値がつけられたため、時価総額で400万ドル(約4億4,449万円)もの価値を持ったことになります。
パープルダイヤは色相に応じて2種類ある
パープルダイヤには、色相のちがいによって、赤紫に近いパープルダイヤモンドと、青紫に近いバイオレットダイヤモンドの2種類があります。どちらも同程度の希少価値があり、レッドダイヤに次いで価値のあるカラーダイヤモンドだといわれています。
さらに紫色の濃度に応じて、パープルダイヤは9段階のカラーグレードにわけられています。カラーグレードの高いほうから順に、最上位のファンシービビッドから最下位のフェイントまで、細かい基準をもとに鑑定されます。世界最大のパープルダイヤとして知られる「ロイヤル・パープル・ハート」も、カラーグレードは最高位のファンシービビッドです。
気品溢れるパープルダイヤはレッドダイヤに並ぶ希少価値がある
以上、パープルダイヤの特徴を解説してきました。パープルダイヤは全体の0.1%しかないカラーダイヤモンドのなかでもとくに珍しく、レッドダイヤに並ぶ希少価値があります。とくにカラーグレードが高く、5カラットを超えるパープルダイヤには大きな価値があります。