ダイヤモンドの丈夫さを示す指標「モース硬度」と「靭性」
2020年4月14日 火曜日
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ダイヤモンドの特性を知りたいなら、モース硬度と靭性の2つの特徴を理解する必要があります。地球上で最も硬い鉱物とされるダイヤモンドですが、衝撃には弱いためです。硬度が高くても取り扱いには注意してください。ダイヤモンドのモース硬度と靭性とは何なのか解説していきます。
ダイヤモンドの硬さの単位「モース硬度」とは
良い条件の宝石を求めるなら、価値を見極める要素のひとつモース硬度を目安にしましょう。
モース硬度は、宝石の硬度を示すものです。1822年にドイツの鉱物学者フリードリッヒ・モースが、モース硬度を提唱しました。未知の鉱物の硬度を調べるとき、すでに硬度が分かっている鉱物を使って擦り、硬度を測るというものです。モース硬度は1~10段階に分かれており、数字が小さければ柔らかく、数字が多ければ硬いと示します。
ここで注意したいのが、叩いて割れる硬度ではなく、ひっかいたときの硬度である点です。
各宝石のモース硬度
最も硬度が低い鉱物は、滑石です。爪で傷がつくほどの柔らかさがあります。
さらに順番としては、硬度2石膏・硬度3方解石や大理石・硬度4ほたる石やマラカイト・硬度5リン灰石や黒曜石・硬度6正長石やトルコ石またラピスラズリ・硬度7石英や水晶また翡翠・硬度8トパーズやピネル・硬度9ルビーやサファイアまたコランダム・硬度10ダイヤモンドです。
地球上で最も硬い鉱物はダイヤモンドですが、硬度8や9でもヤスリで傷をつけられません。硬度8以上の鉱物は非常にまれです。
モース硬度の数字による違いはどの程度あるのか
モース硬度の1や2の数字は、単に硬さを倍にしたものではありません。
それぞれの硬度の基準が設けられています。例えばモース硬度1はビッカース硬度計で47、硬度2は60です。3になると136、4は200といったように基準があります。モース硬度9では2085で、硬度3の3倍にはなっていません。
モース硬度の高い宝石は保管方法に気を付けましょう
モース硬度が高い宝石は、隣り合った宝石を傷つける恐れがあります。ダイヤモンドはもちろんのこと、ルビー・サファイア・トパーズなども注意が必要です。
ダイヤモンドの靭性とは
硬度が非常に高いダイヤモンドですが、一方で注意したいのが靭性の弱さです。
靭性とは、割れやすさの目安のことです。ダイヤモンドは他の宝石を削るほど硬いのに、衝撃には弱く割れやすい特性があります。靭性が弱い理由は、炭素のみの単一素材でできているためです。同じ素材が規則正しく並んでいるため、結びつきが弱い方向が存在しています。
宝石の靭性とは
ダイヤモンドと同様に、他の宝石も靭性で衝撃に対する脆さが分かります。硬度と同時に衝撃にも強い宝石を選ぶなら、ダイヤモンドよりルビーやサファイアを選ぶべきです。
またモース硬度7の翡翠でも靭性は強いため、壊れにくい宝石だといえます。
各宝石の靭性一覧
各宝石の靭性は、3.5~8までの数値があります。数字が大きければ衝撃に強く、数字が小さいと衝撃に弱い宝石です。アパタイトは3.5で衝撃に弱く、次いで5のトパーズやムーンストーン・5.5のエメラルド・6のペリドット・7.5のダイヤモンドや石英またアクアマリン・8のルビーやサファイアまた翡翠の順です。
ダイヤモンドの靭性だけを見れば7.5で高いですが、一方方向からの衝撃に弱い性質があります。
靭性の低い宝石は取り扱い方法に気を付けましょう
靭性が低い宝石を所有している場合は、落としたりぶつけたりしないよう気を付けましょう。宝石としてもよく用いられるエメラルドは、靭性が低く落とすのは避けてください。
衝撃に弱い宝石を落とした場合は、目に見えなくても小さなヒビが入っていることがあります。一度ヒビが入った宝石や、割れた宝石は価値が落ちます。買い取りできないと言われることもあるため注意してください。
宝石選びはモース硬度と靭性を比較しよう
宝石は見た目や値段で選んでしまいますが、長持ちする宝石を選びたいなら、モース硬度と靭性も比較するようにしましょう。
すでに持っている宝石の硬度や靭性が低い場合は、単体で管理するなど取り扱いに注意してください。高価な宝石を破損してしまわないためにも、普段使い用の宝石と使い分けるのがおすすめです。