世界で貴重なダイヤモンドの一つ「ハート・オブ・エタニティ」とは

2020年4月14日 火曜日

世界で貴重なダイヤモンドの一つ「ハート・オブ・エタニティ」とは

INDEX

  1. 1. ハート・オブ・エタニティとは
    1. ハート・オブ・エタニティの誕生
    2. ミレニアム・ドームでの一般公開
    3. スミソニアン博物館での展示
  2. 2. ハート・オブ・エタニティはなぜ青いのか
  3. 3. ハート・オブ・エタニティの希少価値が高い要因
  4. 4. 永遠に輝く神秘のハート

無限の命を持つハートの名を冠する「ハート・オブ・エタニティ(Heart of Eternity)」は、澄み切った鮮やかな青色をした、ハート型のブルー・ダイヤモンドです。「ハート・オブ・エタニティ」は10,000個に1つの確立でしか採掘されない、非常に希少なブルー・ダイヤモンドであり、世界で最も貴重なダイヤモンド10個のうちのひとつとして、ロンドンやアメリカで展示されてきました。「ハート・オブ・エタニティ」はなぜこのような神秘的な青さを誇っているのでしょうか?その希少価値の要因や、謎に満ちた魅力について詳しくご紹介します。

ハート・オブ・エタニティとは

世界最大のダイヤモンドカンパニーであるデビアス社によって発掘され、現在の持ち主や価格などに関する詳細は一切公開されていない、『神秘のダイヤモンド』、ハート・オブ・エタニティ。まず、その謎に満ちたこれまでの歴史から見てみましょう。

ハート・オブ・エタニティの誕生

南アフリカでダイヤモンドが発見される以前は、主にインドで高品質のダイヤモンドが採掘されていました。しかし現在は、南アフリカのプレミア鉱山(現カリナン鉱山)だけが、ブルー・ダイヤモンドの採掘地として認可されています。そんな中、ハート・オブ・エタニティは、1990年代に南アフリカのカリナン鉱山で、ダイヤモンドの大御所・デビアス社によって原石が採掘されました。

ハート・オブ・エタニティの原石のカットおよび研磨は、スタインメッツ社によって秘密裏に行われました。腕利きの熟練職人たちが作業にあたりましたが、当時の様子や研磨過程の状況などは今も謎に包まれたままです。こうして、ハート・オブ・エタニティは世界で6番目に大きい27.64カラット(5.528g)のブルー・ダイヤモンドとして形作られました。ハート・オブ・エタニティの最高に鮮やかな青色を引き出すため、当時最先端の設備や技術が投入されたと考えられています。

ミレニアム・ドームでの一般公開

ハート・オブ・エタニティは、イギリス・ロンドンのミレニアム・ドームにて、その神秘のヴェールを脱ぐこととなります。2000年代の始まりを記念して、2000年1月から12月までの1年間ミレニアム・ドームで行われた展覧会「ミレニアム・エクスペリエンス」にて、デビアス社所有の貴重なダイヤモンドコレクションが公開されました。

この「デビアス・ミレニアム・ジュエルズ・コレクション」の一つとして、ハート・オブ・エタニティは世界初の一般公開となったのです。

展覧会では、このハート・オブ・エタニティと共に、203.04カラットの「ミレニアム・スター(Millennium Star)」や、ミレニアム・ダイヤモンドと呼ばれる10個の極上のブルー・ダイヤモンドが公開されました。
これらのデビアス社のコレクションは人々の関心の的となり、ついには地元の強盗団が「ミレニアム・ドーム襲撃事件」を引き起こしたほどです。ロンドン警視庁特別捜査班の大活躍により、強盗団がダイヤモンドを盗み出す直前で逮捕となりましたが、推定被害総額は3億5千万ポンド(約500億円)という、歴史上最大の宝石強盗事件になる可能性があったそうです。

スミソニアン博物館での展示

その後ハート・オブ・エタニティは、2003年にアメリカのスミソニアン博物館で再び一般に公開されました。「The Splendor of Diamonds (ダイヤモンドの輝き)」という展示の一部として、約二ヶ月にわたり、世界の貴重な7個のファンシー・カラー・ダイヤモンドと共に展示されたのです。

この展示会で、すべてのダイヤモンドは個人のコレクターから借り入れたものと紹介されました。ということは、ハート・オブ・エタニティも、ロンドンのミレニアム・ドーム展示中にデビアスから個人コレクターへと買い取られたのだろう、というのがもっぱらの噂です。しかしこの件についてデビアスは、ハート・オブ・エタニティの購入者や、現在の持ち主などについて、一切公表していません。

ハート・オブ・エタニティはなぜ青いのか

ハート・オブ・エタニティは、なぜこんなにも美しい青色をしているのでしょうか?通常ファンシー・ブルー・ダイヤモンドは、ほとんどが「グレー(Gray)」を帯びているか「暗い色(Deep)」をしています。これは青色になる成分(ホウ素の不純物)の含有量が関係しており、不純物が多すぎると青の色が灰色や黒色に近くなってしまうのです。しかしハート・オブ・エタニティでは、このホウ素を絶妙のバランスで含んでおり、尚且つその青色が全体に均等にいきわたっているため、このように美しく鮮やかな青色をしているのです。

ハート・オブ・エタニティの希少価値が高い要因

そもそも、天然のブルー・ダイヤモンドの採掘率は、全体の0.0001%程度です。そして通常のダイヤモンドの青色は、私たちが思うよりもずっと弱い色彩をしています。その中でさらに全体が均等に美しい青色をしているダイヤモンドを見つけるのは、正に奇跡的な確率なのです。

大きさ、素晴らしい青色の発色、カラット、ブリリアンス、希少さなどの全てが揃ったハート・オブ・エタニティは、ブルー・ダイヤモンドの中でも珍しい「ファンシー・ヴィヴィッド・ブルー(Fancy Vivid Blue)」と鑑定されました。このハート・オブ・エタニティを超えるブルー・ダイヤモンドは、今後もなかなか見つかることはないでしょう。

永遠に輝く神秘のハート

ブルー・ダイヤモンドのあらゆる点において最高ランクに位置する、ハート・オブ・エタニティ。その鮮やかな青い輝きは、見る人すべてに自然の神秘を感じさせてくれます。しかしこのハート・オブ・エタニティは、スミソニアン博物館での展示のあと、世間からその姿を隠したままです。神秘の青いハートは、今どこでその輝きを放っているのでしょうか。